桃源、



  日曜日、

  
  午前6時、 

  夜のうちに雨は止んだけど、薄曇りな空模様。



  山小屋の前にはたくさんの人がいて、

  みな出発の準備でばたばたとしていた。


  誰かが、外に出てきていた山小屋のおじさんに、

  「今日、雨大丈夫ですかね?」

  と聞いた。


  それは、そこにいたみんなが気にしていたことで、

  少し離れたところにいたniizも、耳を傾けた。



   「大丈夫!、降らない!

    こっちから風が吹いてるだろ!

    だから今から5〜6時間、お昼頃までは降らない!」



  おじさんは階段の上を指差して、

  そこにいる全員に聞こえるように大きな声で言った。



  みんなが一斉に、おじさんの指差す先を見上げる、


  そこには羽のないプロペラ機の様なものが、風にゆらゆらと揺れていた。



  〜



  なんていうか、久しぶりな感じがした。


  今の世の中、そういう風に言い切らなくなった。


  天気予報にしろ何にしろ「曇り、後、時々雨」の様な言い回し、

  「そう言っとけば、、」みたいな。 

  

  「その可能性がないとは言い切れない、」

  「これ超かわいくなくな〜い!?」



  最近の若者は、最近の大人が育てたのだ。

  子供は勝手には育たない。

  子供は、親を、大人を、世の中を、テレビを見て育つ。 



  〜





       







         



  
  (今日の写真ではありません、)



  〜  



  落ち葉から甘い香りが漂い、

  風吹けば紅葉の葉が降り注ぐ、

  聞こえるのは葉をかき分ける「ガッサガッサ」という足音だけ、


  歩いても歩いても、 紅葉の道、

  何度でも何度でも、 山道、



  〜



  もう少しで車道に出る。

  バスの時間まで余裕もあるし、最後に休憩していこう。

  倒木に腰掛けて、沢で汲んだ水を飲み、疲れた足を休めた。


  座って見上げると、木々はさらに立派に、そして美しく見え、

  ずっと見ていたい気持ちになった。


  パラパラと音がする。

  とうとう雨が降り始めたようだ。

  でも、葉の屋根に守られてここまでは雨粒は届かない。


  その「パラパラ」という音がまた心地よく、

  雨粒が強くなるまで、そこに座っていた。



  〜



  そろそろと腰を上げ、重いザックをよいしょっと担ぐ。

 
  いろいろ考えるけど、やっぱり山歩は気持ちよく、、


  時計を見ると午後の一時半を指していた。

  
  「おじさんの言ったこと、当たったな、、」



  傘を差してとぼとぼと歩き始めた、

  そしたら足を滑らしてしりもちついた、

  やっぱり山道で傘は危ないかな〜、、と思った。


  おしまい〜♪


  〜