たおやかな海、



  日曜日、

  今日も暑かった。


  今日は父方の田舎に墓参りに行った。

  家族で電車に乗って行った。

  特急電車で食べる駅弁は、旅行気分がして好きだ。



  〜



  以前も書いたけど、niizの父方の田舎は福島だ。


  今回は、今年の一月に亡くなった伯父さんの早めの一周忌と、

  祖母の23回忌ということで、親戚が集まった。
  
  
  実家は原発の避難区域からは逃れている。

  でも、それもただ運がよかったからだ。


  原発が爆発した時に、たまたまこっち側には風が吹かず、

  たまたま数日間雨も降らなかったから、濃い放射能が降ってこなかったのだ。   


  もしこっち側に風が吹き、雨が降れば、、



  まるで風の谷の話しのようだね、



  〜



  お墓のあるお寺は海沿いの高台にあり、

  原発から30キロ圏内に入っている。


  だがそれもいろいろと運がよく、ぎりぎり立入れることができる場所だ。


  もうまともにお墓参りにいけないお墓もあるんだと、思った。



  誰も来てくれない、


  誰も歩いてない、


  誰もいない、


  ご先祖さま方は、すごく寂しがっているだろう、

  お墓参りにいけない人も、すごく悲しいだろうし、

  悔しいだろう、



  niizは会いに行けた。

  伯父さんに、お祖母ちゃんに、ご先祖様に。


  「ありがとうございます」って心で言ったよ。

  

  〜



  マイクロバスの運転手さんにいろいろ話を伺った。

  そして、海沿いの道に差し掛かると、津波の爪あとが残っていた。


  家は土台しかなかったり、建物はあるけど一階部分が全部バラバラだったり。

  いろんな柱がありえない方向に曲がっていたり、


  一番ゾッとしたのは、幼稚園の建物が鉄骨だけを残して、

  バラバラに破壊されていたことだった。

  でも、園児は津波が来る前に高台に避難していて、助かったそうだと聞いて、

  心がほっとした。

  


  〜



  ただ、街に子供の姿は少ない。

  
  結局放射能の責任なんて、誰も取れないんだよね。

  
  いくらお金を払われたって、いくら頭下げられたって、

  誰も責任なんて取れないんだよ。



  こんなことやっていて、いつか人間は腐海に飲み込まれるんだろうね。




  〜〜




  海は穏やかで、 空は青く、

  
  津波の姿なんて想像できなかった。



  園児達が避難したのは、高台にあるお寺だった、


  伯父さんやお祖母ちゃんが眠るお寺だった、


  
  きっと、守ってくれたんだ、


  絶対、 そうなんだ、



  〜